イタリアングレーハウンドとは

IGには、言葉では言い尽くせない魅力があります。
図鑑の写真だけでも十分魅力的ですが、一緒に暮らすとその底知れぬ彼らの実力に、もう、くらくらです。
有名な話では、プロシアの国王、フリードリッヒが戦時中もずっと一緒にいた最愛のイタリアンにむけて「さまざまな人間に会えば会う程、ますます彼の魅力に惹かれる」と言葉を残したそうです。人間にはかなわない魅力をもった犬なのです。
華奢で優雅な姿は、昔、貴族の遊びとは言え、ウサギ狩りをしていたなんて思えません。 けれどIGはその歴史が示す通り、確かにサイトハウンドです。それは、お散歩中に簡単に体感することが出来ます。遠くに猫の姿を見つけたとき、あの可愛いIGが、サイトハウンドに変身します。他の犬と出会った時の表情とは確実に違うあの表情は、まさにハウンドです。鋭い目で獲物をじっと見つめ、今にでもダッシュ出来そうに身構えるのです。
けれど、家の中ではまた違ったIGの一面をみることができます。私たちが椅子に座るやすぐに膝の上に乗ってきて、丸くなったり、ほおずりしたり、最後には、Tシャツの中に潜り込んで寝ちゃいます。毛布にくるまる時や、Tシャツの中に入れてくれと催促する時には、上手にあの細長い手を使います。夜、私たちが寝る時には、誰よりも早くベッドにいって私たちが来るのを待っています。そうです、一緒に眠るためにです。(しつけの上でいけないのかも知れませんが)こんな時、彼らは犬であって、犬にあらず、何か違う生き物なのです。一緒に眠ることはごく自然なことなのです。
IGの生活にはソファーと毛布と日向があれば十分です、彼らはぬくぬくが大好き。日向があれば即そこに行き日向ぼっこをします。そして、暖かくなったら、日陰に移動します。日が陰ると、ソファーの上で毛布に上手にくるまっています。
ぬくぬくが好きなIGですが、運動も大好きです。できれば広いハラッパで、自由に思いっきり全速力で走るような運動と、飼い主とのコミュニケーションを楽しむようなお散歩ができれば最高です。車が多い交差点にさしかかると、「だっこして」と手をかけてきます。そんな時は、優しく彼らの要求を満たしてあげてください。

イタリアングレーハウンドの歴史

イタリアングレーハウンドは、古代エジプトの時代にグレーハウンドの中の比較的小型の個体を祖とするというのが、定説のようです。このことは、グレーハウンドのミニチュア(意図的に小型化、愛玩犬化したという意味のミニチュア)のようではあるが、IGが決してミニチュアグレーハウンドでは無く、オリジナルのブリードであり、確かにサイトハウンド(視覚猟犬)の血を受け継ぐ犬種であることも示しています。
古代エジプトからギリシャを通ってイタリアに渡り、16世紀のイタリアで、貴族の犬としてもてはやされ、17世紀にはイギリスに渡り、ミニチュア化が進んだとされています。その後、19世紀にアメリカに渡りAKCに犬種として認定されました。20世紀初めには、ヨーロッパでIGの数が減少し、イタリアではスタンダードからカラーの制限を緩め(それは近代イタリアのIG達の祖が現在ではFCIのスタンダード外とされるカラーであったことが考古学の見地からわかったそうです)、オーストリアではウィペットの血を入れることがある犬舎に許されたそうです。その結果、IGは衰退を免れましたが、IGの大型化、ホワイトマーキングの多様化につながっていったのでしょう。現在のヨーロッパでもFCIのスタンダードとKCのスタンダードのカラーの規制について意見の分かれるところのようです。カラーを強く規制することは、IGに衰退を再び招く恐れがあるという考えもあります。日本では、20世紀の中ごろからその歴史が始まり、多くはアメリカからの輸入犬を祖としているようです。

参考資料: ITALIAN GREYHOUNDS (c)Louis F.Russo, IGCA HP, FCI STANDARD, BARAKA BOOK